これは、全体の傾向に流されやすい日本人の国民性にとても合致しているため、特にマーケティングや政治における選挙活動などに多用される場合が多いのが特徴的です。
「皆が同じ行動をとる事は、おそらく正しい」
これが基準となる考えで、集団の思考は概ね正しいとの認識です。
これこそバンドワゴン効果の典型的な実例!
この効果を、もっとも分かりやすく端的に示す事例があります。最近、ニュースなどで毎日必ず取り上げられている「トイレットペーパーの買占め」です。
コロナウイルス感染の不安が拡がる中、一部のSNS投稿のデマがいっきに拡散した結果です。
「そのうちトイレットペーパーが店から消えるらしい」
この「らしい」が曲者(くせもの)です。
実際には、たっぷりの在庫があるにもかかわらず、消費者は不安心配をかき立てられ殺到してしまうのです。
行政は度々、「在庫は充分にあるので冷静に」と、テレビ新聞等で冷静を取り戻すよう喚起しています。
にもかかわらず、やはり大衆の心理は違う方向へ向かうのです。
【周りが買うから取りあえず買っておく】
そしてドラッグストアやスーパーで在庫が空っぽになっているのを見て、尚更焦って手に入れようと行動する。
これこそバンドワゴン効果の最たる事例です。
人気店の行列に並ぶ心理も
ほかに一般的な事例としては、こんな感じです。- 行列の出来る店舗に並びたくなる
- 売れているとウワサの商品を買ってみる
- 全米震撼!○○万人動員!みたいな映画を観る
- 上を見上げている人々を見たら自分も見上げる
このように、その他大勢と同じ行動を取りたくなる心理、周辺と同じ考えを共有している自分に安心する心理効果が、バンドワゴン効果です。
「たくさんの人たちが”良い”と評価しているのだから、実際それは良いのだろう」
このような心理に落ち着くのです。
そこには、「本当はどうなのか」と言う、対象を検証する心理や行動は伴っていません。
ちなみに「バンドワゴン」とは、パレードなどの行列の先頭を行く楽隊車を指します。
選挙投票の行動心理も
国政選挙や地元の知事選・県議会議員選挙などでも、この効果はたいへん顕著に見られます。「さて誰に投票しようかな」
特に投票先を決めていない場合、投票台に立ったあなたは、そう思います。
そんな時に思い浮かぶのが、こういった自問自答です。
- 「テレビで○○が優勢と言っていた」
- 「勤務先で皆が○○の圧勝だとウワサしていた」
- 「皆が言うんだから間違いない」
これは、バンドワゴン効果です。
本来ならば、投票するという行動は、立候補者の施策や人柄などを考慮しながら決めるべきものです。
しかし、人間の心理として
「みんなは、どう考えているのかなぁ」
これが判断基準になってしまうのです。
ですから選挙対策本部としては、
「大衆はどう考えているのか」
「どうすれば大衆の共感を得られるのか」
この部分を最重要視しながら、短い選挙戦を少しでも有利な戦況へと闘うわけです。
バンドワゴン効果の反対もある
それは、アンダードッグ効果と言います。たとえば、野球やサッカーの試合、何でもいいです。
「劣勢なチームの頑張る姿」に心を動かされ、そちらの方を応援したくなった事、ありませんか?
アンダードッグの意味は「負け犬」「負けそうな犬」です。
まさに劣勢に立たされても挫けない勇気に対して共感を呼ぶ効果なのです。
選挙戦で劣勢を報じられている候補者に投票したくなる心理状態も、この心理状態と同じです。
この場合は、同情票と言えるかも知れません。
その結果、逆転勝利を収めると言う大波乱も起こり得るわけです。
人の気持ちは百人百様、いかようにも動くものですし、ブレる場合も有り得ます。
ですが、「自分はこうだ」と言う周りに流されない中心軸はしっかりと保ちたいものですね。