昨日もおとといも分かっていながら買い物先延ばし。
こそ行かないと。
我が家御用達のしょうゆは、スーパーで売っているような安物じゃない。
地元で長年製造直売している、伝統ある有名店なのだ。
父のしょうゆエピソードが懐かしい
今は亡き父親は、ごはん時になるとよく言っていた。「このしょうゆだけで白めしが食える」
「こんなに旨いしょうゆはどこにも無い」
そう言いながら、さも美味そうに
わざわざ手のひらにしょうゆを垂らしてベロでなめていた。
何もそこまでやらなくても。笑
まだ子供だった自分は、呆れながら見ていたものだが、
何事にも頑固な父がそこまで有り難がってしょうゆを舐めた気持ち、今は痛いほどよく分かる。
メーカーの存在感
自分も「しようゆはキッコーマンが一番おいしい」と長い間思い込んでいた。それを両親に話すと、鼻で笑われた。
「まだまだ甘いな」と。
だって日本が世界に誇るしょうゆメーカーじゃないか。
大企業は零細よりも優れているとは決して思わないし、
メーカーが製造する食品が優秀とも思わない。
でもやっぱり日清のカップ麺や袋ラーメンは無難においしいし、
森永や明治のチョコレートはやっぱり美味いし、
味の素のマヨネーズは野菜サラダにたっぷりかけたい!
昔々は、キューピーに比べると味の素マヨは変な味がする感じがして敬遠していた。
でも今は違う。
味の素マヨもキューピー同様においしい
それと同じだ。
スーパーで聞いた事も無いしょうゆが並んでいて
思わず買いたくなるような宣伝コピーが書いてあっても、
多くのお客さんはやはりキッコーマンなどの大手メーカーを選ぶだろう。
零細企業が売り上げを伸ばすのは尋常じゃない労力が必要なのだ。
個人店舗がメーカーを凌駕する
ただ昭和の時代とは違って今はSNSを駆使すれば
たとえ個人事業であっても堂々と大手メーカーと張り合える。
「ネット情報の拡散」は、計り知れないパワーを秘めているからだ。
だから山奥の秘境にあるような一軒家の食べ物屋さんでも
行列が出来る店になるケースだって普通にある。
まさにネット社会の功績だと思う。
食べ物関連でなくても、
何か一芸に秀でていれば、動画を駆使して簡単に世界へ情報発信できる。
「ユーチューバーと言う新しい職業」が将来なりたいランキングに上げられるわけだ。
昭和では、およそ考えられない。
由緒ある店舗が善戦
さてしょうゆ屋さん。旧市街の細い路地沿いにあるかなり古い建物がこのお店だ。
古いサッシの扉をギシギシ開けると
大瓶や中ビン・パックに詰められた数種類のしょうゆの他に
味噌・はまな味噌(食べる味噌)や漬物が並んでいる。
その陳列は、まさに昭和の香りそのまま。
数本の太い柱に支えられた歴史を感じさせる空間は、居心地がバツグンに良い。
真夏でさえ店内に入ると、ヒンヤリした空気感で心地よく迎えてくれる。
エアコンの涼しさとは違う癒しがあるのだ。
ぜんぜん違う。
しょうゆは、こんな感じの風情あるお店で買うのが断然良い。
スーパーに並ぶキッコーマンも悪くは無い。
でも値段が倍ほどかかっても、手間隙かけて暖簾を守り続ける醤油屋の心意気を買うほうが圧倒的に気分が良い。
気品のある店主おかみさん
この店舗には、今どき珍しく玄関に呼び鈴さえ設置してない。何度もごめんくださいを大声で呼ぶけど、、出てこない。
あーーあ、またか。
玄関を出て周囲を見ても人がいる気配なし。
店内へ戻ると、やっと出てきた。笑
「あーー毎度有難うございます」
だいぶお年を召した店主ご婦人だ。
きれいにお化粧して昔はキレイだったんだろうなと思わせる。
かなり高齢だけど今も品が漂っている。
女性たるもの、こうでなくてはいけない。
若いからきれい、年寄りは終わりと言うわけでは決してないのだ。
食品高騰のあおりを受けて
気品のある女性は、たとえ70でも80を超えてもやはりキレイ。ベタベタ化粧を塗りたくらなくても
きちんと美しいのだ。
いつもの家庭用しょうゆペットボトル入りを一つ選ぶ。
ん?値段がまた上がっているぞ。
前回はたしか900円台だったのに、1,030円と表記されてる。
また値上げなんですねと話すと
なにせ原材料の高騰で止むを得ないのですと申し訳なさそうな表情。
いやいやそれは本当に仕方ない。
世の中が一律そうなってるんだから。
これ下さい。
いつもありがとうございます。
いたって普通なやりとりが心地よい。
さあハビングして買うぞ
さあハビングする時が来た。財布から千円札と小銭入れから30円を、、
と思ったが、あいにく20円しかない。
ちょうど千円おつりにしたかったのに。
仕方なく1万円札を差し出して、おつり8,970円を受け取る。
自分はお金を持っているんだ
十分なお金を持ってるからこれが買えた
おつりがこんなに戻ってきたじゃないか!
当たり前じゃないぞ!
たっぷりお金を持っているからこそ、たっぷりおつりを受け取る事が出来るんだ。
ああ、ありがたいなあ。
また今回もおいしいしょうゆを買う事が出来た。
「たかがしょうゆ」?
しょうゆは、日本が世界に誇れる素晴らしい食材だ。たかがしょうゆと思うなかれ
大根やかぶらやほうれん草のおひたしに
ソースをかけて美味いだろうか。
絶対にしょうゆなのだ。
長時間じっくり煮込んだおでん、出汁は言うまでもなくしょうゆベース。
新鮮ピチピチなお刺身には、ぜったいに間違いなくしょうゆだ。
高級店のお鮨でしょうゆじゃなくソースをかける人いる?
TKG(たまごかけごはん)は断然しょうゆだろ?
あれもこれも絶対にしょうゆなのだ。
しょうゆ万歳!!
和食だけではない。クリームシチューに数滴しょうゆを垂らすと
コクが増して断然おいしくなるのを知っているだろうか。
ステーキソースにもしょうゆは欠かせない。
こってこてのフレンチなソースもおしゃれかも知れないが、
しょうゆベースのあっさりソースは食材本来の旨みを最大限に引き出してくれる。
かのごとく、しょうゆは頼もしくて万能な調味料なのだ。
しょうゆ万歳!
自分は死ぬまでこのお店のしょうゆで生きていく。
ちょっと大袈裟か。笑