アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって主張された理論で、別称「ローゼンタール効果」とも「教師期待効果」とも呼ばれています。
ちなみにピグマリオンとは、ギリシャ神話に登場するピュグマリオン王自身が彫刻し心底溺愛した美しい女性像が、やがては神によって命を与えられ人間になり妻として迎えたという物語から取られています。
ピグマリオン、実は王様の名前だったんですね。
教師の期待度と成績の相対関係を実験
心理学者ローゼンタールは、とあるユニークな実験をしました。「Aクラスは成績優秀な生徒」を集め、「Bクラスには成績の悪い生徒」を集めます。
そして担任する教師には「Aクラスは【成績が悪い生徒ばかり】集めた」と伝え、「Bクラスは『成績優秀な生徒だけ』を集めた」と伝えました。
すると、実に興味深い結果が表れたのです!
成績優秀なはずのAクラスは「どうせ勉強しない生徒ばかりだ」との担任教師の思い込みが自ずと態度や表情などに表れた結果として、成績が下がってしまいました。
一方の成績が悪いBクラスは、担任教師が「このクラスはしっかり勉強する優秀な生徒たち」との教師の期待が生徒らに伝わり、成績が上がったのです!
成績が悪かったBクラスの生徒たちは、「自分は先生から期待されている」との褒められ感を敏感に感じ取ったのですね。
期待された通りの成績を出す効果
つまり、担任教師が思い込んだ「しっかり勉強する生徒」と言う期待、「どうせ勉強しない生徒」と言う先入観が、それぞれ教える態度や姿勢に表れて、実際の成績アップやダウンに繋がったという事です。まさに、ピグマリオンが「教師期待効果」と呼ばれる所以(ゆえん)です。
このように、「人間はそれぞれに期待されたとおりの成果や結果を出す傾向が見られる」と説いたのが、ピグマリオン効果なのです。
これとは逆に、Aクラスの事例のように教師が生徒に期待しないため成績が下がるような現象をゴーレム効果と言います。
心理学研究者の一部には、「単なる教師のえこひいきが加味された結果でしかない」との、斜に構えた見解もあるようです。
コミュニケーションの8割は「言葉以外」
人は、相手に何かを伝えようとする場合、自分が意識したり感じたりしている事が、そのまま「顔の表情」に表れます。もちろん、それだけではありません。
- 「身振り手振り・仕草(しぐさ)」
- 「声のトーン・張り具合」
- 「話す抑揚・リズム」
- 「目つきや眼差し」
- 「場の空気・雰囲気」
相手との意思疎通・人同士のコミュニケーションにおいては、伝えたい内容を言葉を通して話します。言葉で相手に伝えるコミュニケーションは、バーバル・メッセージと言います。
それと共に、「言葉」以外で相手に伝わるメッセージ(非言語的メッセージ)が何とコミュニケーションの8割以上を占めている、と言われています。
この言葉以外で伝わる意思疎通は、【ノンバーバル・メッセージ】と言われています。
前述したAクラスBクラスそれぞれの教師は、自身では意識していなくとも生徒に対する期待の有る無しが表情や態度・しぐさや眼差しに表れたのです。
その結果が、成績に如実に表れたのですね。
口ぐせ効果をプラスすれば、さらなる効果
であるならば、意識するだけではなく言葉で発する事で効果はもっと上がることになります。- 「必ず出来る」
- 「絶対達成できるはず」
- 「出来ないはずがないじゃないか」
なぜなら、指導者の表情や身振り・話し方だけでも成績が上がってしまうピグマリオン効果が認められているわけですから。
教師期待効果に前向きな言葉・ポジティブワードを加えるならば、その相乗効果はさらに大きくなる結果が期待出来ます。
いつでもどこでもポジティブなプラス言葉を唱える習慣、いわゆる「口ぐせ」効果は、脳科学においてもその効果が認められています。
前向きでプラス思考な言葉をいつも言葉で発する事で、脳内の潜在意識に「出来る」「達成する」「可能だ」と脳内に刷り込むのです。
この口ぐせ効果、実際に試してみる価値は大いにありそうです。