アルダーファーのERG理論を分かりやすく解説!マズロー理論との比較も

投稿者: | 2020-03-05

ERG理論とは経営学用語

ERG理論とは、アメリカの心理学者クレイトン・アルダーファーによって提唱された経営学のひとつの概念です。

そもそも人間は、主な3つの欲望が根源となっている。

そして、ひとつの組織を経営することは、組織を成す母体であるところの社員(人材)の存在と人材それぞれの成長に深く関わっている、と言う考え方です。

人は3つの主要な欲が生きていくうえでの基本となるとして、アルダーファーは下記の3つを掲げています。

  1. E:Exsistence=【生存】存在する
  2. R:Relatedness=【関係】関連する
  3. G:Growth:【成長】成長する

マズローの欲求5段階説と似ている

このERG理論と似た概念に、マズローの欲求5段階説があります。

「マズローの理論を発展的に捉えて3つに集約させたのがアルダーファーのERG理論である」とみなされているのです。


アルダーファーの3つの欲求とは

では、ERG理論それぞれの内容を見て行きましょう。

  1. E:Exsistence【生存する】
  2. アルダーファーの言う存在は、食欲や睡眠・性欲など、人として生きていくうえでの本能的欲求だけではありません。

    それに加えて、たとえば会社という組織に属するうえでの自身の存在意義を含めての存在と捉えています。


    例えば、人事面での待遇・給与・労働条件など全般的にとらえて、組織内における自分の存在意義を見ています。

    マズローの5段階説で見るならば、第一階層の生理的欲求と第二階層の安全欲求あたりです。

  3. R:Relatedness【関連する】
  4. 人として生きていくうえで母体となるのは、まず家族ですね。

    妻や子供・親との良好な関係、それに加えて仕事での上司や同僚・部下や取引先と関わるうえでの良好な人間関係などです。


    いくら家族内での人間関係が良くても、社内での関係が険悪ではやはり問題有りと言わざるを得ません。

    いうまでもなく、取引先との関係ももちろん重要ですね。

    マズローの階層説では、3階層の社会的欲求と4階層の承認欲求あたりが該当します。

  5. G:Growth【成長する】
  6. ひとりの人格者として、家庭内でも組織内においても精神的に高格な人格を持つことは、人としての崇高なゴールと言えます。

    人は常に、生産的または創造的な意思と行動力を持つ人格者に成長したいと欲する段階です。

    マズローの説ならば、5段階めの自己実現欲求、そして6段階目の自己超越の最終ゴールを含みます。

ERG理論の特徴はここにある

アルダーファーは、「第一階層の生存欲求がたとえ満たされなくても、人は次なる第二階層の関係欲求へ向かう」と説いています。

そして、人の欲求として両者は並存して存在し得るとの立場を提唱しているのです。


さらに、上位の欲が満たされない場合には、下位の欲求に戻る傾向もあることを指摘しています。

たとえば、成長欲が満たされない場合には、下位欲であるところの関係欲求をより満たしたい欲望にかられるのです。