ファーストペンギンとは何か分かりやすく説明/ITビジネスにも絡めて

投稿者: | 2020-03-09
ファーストペンギンを検索されましたね?
もしくは、他の記事からたどり着いた方も含めて有難うございます。

ファーストペンギンは果敢なる英雄

南極など群れの中で、いざ先陣を切って水中に飛び込むペンギン。

転じて、リスクを恐れずに果敢に新しいビジネスシーンへチャレンジする英雄として、敬意を持ってファーストペンギンと呼ぶ風潮がアメリカにはあります。


リスクを尻目に果敢にチャレンジした代償こそが、莫大なる先行者利益です。
ファーストペンギンは、れっきとしたビジネス用語なんですね。

後に続いて、二番手三番手が飛び込み、その他大勢がドボンドボン!
やがてファーストペンギンは英雄となるわけです。

人間社会もペンギン群集と同じ

でも、英雄とは表裏一体に不幸にもシャチの餌食になる可能性も常にあるわけです。
それが凡人には、とても怖い大きなリスクです。

人間社会においても同じ行動が見られます。
我れ先にとチャレンジをしかけるチャレンジャー社員は、ダントツに出世街道を突き進む可能性を秘める一方では、あわれ集団行動能力ゼロとみなされ、窓際族に追いやられるかも知れない。

こんな逸話があります。
天下の松下電器がまだ急成長をまっしぐらに突き進んでいる、昭和の高度成長期の真っ只中。
まだ松下幸之助氏が社長の時代に、彼はこう言い放ったという伝説があります。

「うちには東に優秀な開発部隊がいる」

この優秀な開発部隊とは、当時同じく急成長を驀進中であった「世界のソニー」です。

ソニーと松下電器どちらがファーストペンギン?

ソニーが試行錯誤の開発の末に世に出した製品を、松下電器はそれに改良を加えて「二番煎じ製品」として全国のナショナル代理店の販売網を通じて、いっきに売りさばいたのです。

そうして巨額の利益を生み出し、今日のパナソニックに繋がるわけです。
この場合、

ソニーがファーストペンギン
松下電器が二番手三番手ペンギン

ペンギンの群れにおけるファーストペンギンにしろ、人間社会における果敢なるチャレンジャーにせよ、仮にそのような英雄的存在がゼロであったならば、ペンギンの群れは食べるもの無く絶滅します。
我々人間社会ならば、その組織はつぶれる事はないにせよ、急成長は有り得ません。

なぜリスクを犯してまでチャレンジするのか

ではなぜ、わざわざ自身のリスクを犯してまで、ファーストペンギンに成り得る思考を持つ存在が常にいるのか?

それは最新の脳科学からみると、生物が進化生長する過程においては、不確実性を敢えて好む脳内物質が発達してきたようなのです。

ぶっちゃけて言うなら、リスクを好む性格です。
危険な状況を楽しむ性向とも言えます。


ギャンブルがまさにそうです。

競輪競馬競艇パチンコ。。どれにしても、競馬なら馬券を買ってからレースが終わる瞬間までの過程が、ワクワクドキドキを楽しめる。

宝くじファンの心理も同じです。

窓口で連番かバラか、いくら買おうかと散々迷ったあげくに買う。さあこれで億万長者かもとプチワクワク感が楽しいのです。
どうせ当たるわけないとか話すわりには、一抹の期待はもちろんあるわけです。

ネット社会は群雄割拠かつダントツトップ

冒頭にお話ししたように、ファーストペンギンは群集の餌食になりえるリスクを負いますが、最近のネット社会ではちょっと違います。

ソフトバンク率いる孫正義氏がその典型です。

自動翻訳機をシャープに売り込んで得た1億円を元に会社を創業、すぐにエレクトロニクス展示会で自社ブースを出展、全資産を投げ打っての大博打に出ます。
もしうまく行かなければ、それで終わり。

しかし、世の中は捨てる神あれば拾う神ありです。
上新電機からの一本の電話が、孫氏のその後の人生を決定づけたのです。

「すばらしい。詳しく話しを聞かせてくれ」


こうなると、ファーストペンギンは常に群集の先頭を切る英雄です。
何と言っても彼の最大の武器は誰も真似できない圧倒的スピードですから。

二番手三番手は、いつまでもそのまま後塵を拝するわけです。

それどころか、二番手か三番手以降のペンギンは「もう大丈夫だろう」と水中にドボンと行った所、いきなりシャチの餌食になりかも知れません。

何と言っても、シャチは今まで楽勝で獲物にしていたファーストペンギンを食い損ねてしまっているのですから。腹ペコで、いきり立っているのです!

しょせん他人事ならキレイごとを書ける

ファーストペンギンで検索し、いろんなサイトやブログを見てみました。

そこそこの実績を出している某コンサル企業のサイトでは、こんなふうに説明しています。


ビジネスの世界は、ペンギン社会とは違って相手(シャチやトド)のエサとなり食べられてしまう事はない。
だから、たとえ失敗しても充分に復活できる。

しかし、運任せに飛び込むのではなくて、しっかりとプランニングを練ってからチャレンジしよう。

・・・なんてキレイごとを抜かしているんだろうと感じました。
しょせん他人事なんです。

いくらしっかりと計画したところで、食われるときには食われる、何が起こるか分からない世界へダイビングしたわけです。

それがファーストペンギンたる英雄です。

決死の覚悟なくして、大いなる大海へ飛び込むことなど出来ません。
失敗したら死ぬくらいの覚悟と度胸が必要なのです。

その意味で、孫正義氏や楽天の創業者である三木谷裕史氏らのベンチャースピリットには、心から尊敬の念を禁じ得ません。

まったく素晴らしいチャレンジャーであり、ベンチャー企業トップのお手本です。

そうそう、誰でも出来るものではありません。